2023.11.27 テスラ充電規格NACSとは?

皆さまこんにちは!EvCArSカーライフアドバイザーの高橋です。今回は、多くの自動車メーカーが今後の採用を表明したテスラ充電規格NACSについて、なぜ多くの企業が採用をするのか、またその圧倒的な利便性についてみていきましょう。

まずNACSNorth American Charging Standard)とは、北米標準規格を名乗っており、テスラが独自に開発した電気自動車(EV)向けの急速充電規格です。テスラの「テスラ・スーパーチャージャー」で採用されています。NACSは、テスラだけではなく、フォードモーターズやゼネラルモーターズ(GM)、メルセデス・ベンツグループ、日産自動車、トヨタなどが北米市場向けに採用する方針を発表しています。

なぜ他社がこの企画を採用してきたのでしょうか?その一つ目の理由は充電網の広さです。テスラは車両が増えるよりも前に先行投資的に充電器の設置を進めてきました。そのおかげもあり、アメリカ、カナダ市場ではテスラスーパーチャージャーの設置割合はおおよそ6割を占めています。逆に言えば、テスラ車でなければ残りの四割の中の充電サービスプロバイダーの中から使用しなければなりません。ちなみにシェア率第二位のElectrify Americaはおおそよ10%となっています。しかし数の理論だけではありません。

二つ目の理由はコンパクトな形状です。これまでの急速充電器は長くて太くて重く、取り回しの悪いものが多くありました。特に女性や高齢者の方にとっては厳しかったかもしれません。長くなってしまう理由が各メーカーによって充電口の位置が違っているためです。太くて重くなってしまう理由は充電中ケーブルが熱をもってしまうため、細くできませんでした。そこでテスラは水冷式(熱を冷ます)ケーブルを採用し軽量化に成功。またテスラ車の充電口は全車左後ろに固定なのでケーブルの長さを一定にできます。これによって大幅に利便性が向上しました。

三つ目に普通充電、急速充電ともに形状が同じという点です。例えば日産リーフの場合、普通充電と急速充電それぞれ設置されています。それぞれ大きさも異なるため、新規で車両を制作する場合はしっかりと考えなければなりません。ですがNACSであれば一か所に設置をすれば充電口に関しては済んでしまうので利便性は向上します。

四つ目はプラグ&チャージ機能です。これは充電口に差し込めば充電が始まり、充電された電気の量によって、予め紐づけされたクレジットカードから引き落とされるという仕組みのことを言います。これまでは様々な充電サービスプロバイダーが発行している充電カードを契約し、充電時にはそれらを使用してタッチパネルを操作してから充電開始という行為が一般的でした。つまり、充電を開始するまでいくつかの段階を踏まなければならなかったのです。ましてやビジター充電ともなるとさらに煩雑になっていました。これらの不便さを車両側、充電器側で解決しました。まさに垂直統合型のテスラならではと言えるでしょう。

その他にも一か所に複数のストールが設置されている点や、テスラ車であれば車内からリアルタイムで充電器の混雑状況が把握できたり、充電器に到着するまで予めバッテリーを予熱してくれるプレコンディショニング機能、どこか遠出をした際にどこで充電した方が良いのかを教えてくれるトリップランナーなど、多くの点がより優れた充電体験へとつなげてくれています。

他社でも同じような充電体験をできるようV4スーパーチャージャーも順次設置が開始しています。もしかすると今後日本市場でもNACS規格が採用され、誰でも簡単にテスラスーパーチャージャーを使える日が来るかもしれません。
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文/営業担当 高橋佑介